2011年7月28日木曜日

11人家族

3人家族と聞いていたシャロンちゃん(12歳)の家を訪れると、たくさんの人が私を迎えてくれた。

従兄やおじさん、おばさんなど総勢11人で暮らしているとのこと。

こういった光景はケニアでは珍しくなく、身寄りのない者は親戚の中でも余裕がある家でお互いを

養いながら生活を共にする。シャロンちゃんの家の大黒柱は54歳になるおばあちゃんたったひとり。

家の敷地内に畑はあるものの、野菜を売るだけの収穫はない。他の人から委託された野菜を売っ

た手数料の50~100ksh/日(50~100円)が唯一の生活費となる。

一家の大黒柱となるだけあって、おばあちゃんはとてもたくましい。

「本当にね~、私一人で稼ぐのは大変よ~。最近腰も痛いしね、野菜もそんなに売れないし、ま、で

もしょうがないわよね。私が働かないと始まらないからね。」

ケニアでは決して若いとはいえない年齢だが、貧しい生活を吹き飛ばすような明るい性格のおばあ

ちゃん。話しだすと周りの雰囲気がぱっと明るくなる。

家は11人が住むには窮屈すぎる程のスペースしかなく、シングルベッドに4,5人が身を寄せ合って眠る。


残りの家族はリビングの硬い椅子で眠るという。


家に電気はなく、夜11人を照らす明かりはアルコールランプ1個だけ。


それでもシャロンちゃんはおばあちゃん似のしっかりした口調で、将来の夢を教えてくれた。

「勉強を一生懸命して、将来は弁護士になりたい。弱い立場にある人たちを助けたいから。」

彼女の輝いた目を見ていると、本当に実現できそうな気がしてくる。

貧しさを糧に、彼女の前向きな姿勢はきっと明るい将来を切りひらいてゆけると願う。

2011年7月26日火曜日

ウィリアム君とおばあちゃん


                 ウィリアム君 10歳 小学校4年生

まだ英語がスラスラと話せないウィリアム君は、私が質問をすると恥ずかしそうにうつむいて下を向いていました。

ウィリアム君は義足のおばあちゃんとの2人暮らし。

彼の家を訪れると、裏庭でおばあちゃんが1人たたずんでいました。


おばあちゃんは5年前に事故で左足を失って以来、義足の生活をしています。

それ以来、畑仕事や料理・洗濯など今まで行っていた家事がほとんどできなくなりました。


ケニアの多くの家庭では、3つ石を使いしゃがんだ状態、または猿の腰掛程度の低い椅子に座って

調理をします。義足をはめた状態では、このしゃがむ行為がとても負担のかかる姿勢となるのす。

今では10歳のウィリアム君が毎日の食事を作っています。


現在は近くの教会の牧師さんが毎月少しづづお金を寄付してくれるお金で、何とか生活をしています。

毎日食べられるご飯は1日、1~2食。最後にお腹がいっぱいになったのはいつかも忘れてしまっ

た・・・と照れながらおばあちゃんが話してくれました。

最近は腰や目も悪くなり、ほとんどの時間をリビングや裏庭に腰をかけて1日を過ごす事が多くなっ

たそうです。

「不憫な生活が時々情けなくなる・・・。」

涙を浮かべながらおばあちゃんがぽつりとつぶやきました。

小さな孫がいるのに、自分は何もできない事を話の中で度々嘆いていました。


それでも、私が家を訪れた事を大変喜んで下さり、

何度も「ありがとう、また来て欲しい。何も無いけど、また来てほしい。」

と手を握って話してくれました。

細くなったしわくちゃのおばあちゃんの手。

おばあちゃんとウィリアム君がまたお腹いっぱい食べられる日がまた来るよう、

私にできる事を精一杯しようと心から思いました。

2011年7月25日月曜日

ベラちゃんの夢

ベラちゃんはオカンジャ小学校の5年生13歳。

学校から歩いて15分の場所に、ベラちゃんとおばあちゃんが暮らしている家がある。


家の中に入ると、リビングのソファーでおばあちゃんが横たわっていました。

                

尋ねてみると、2年前から体が思うように動かず、微熱や頭痛を繰り返しているとのこと。 

「病院では何て言われたの?」


とおばあちゃんの体調を訪ねると、

「病院には行ったけど、検査や薬代の600ksh(約600円)が払えなくて帰ってきた。薬は貰えなかった。」

と話してくれた。毎日3食の食事もままならない生活では、医療費を払う事はとても困難な事。

病気にならないように、健康に生きる事がどれだけ大切か、ここケニアでは思い知らされる。


2002年に病気でお父さんが亡くなり、その4年後お母さんが亡くなった。

お母さんが亡くなった時、ベラちゃんはまだ8歳の時だった。

周りに看病する親戚もおらずベラちゃんがお母さんを看とった。

母親の看病をしていた為、小学校には2年遅れて入学したそうだ。


おばあちゃんが病気になってからは、ベラちゃんが家事全てを担っている。

おばあちゃんが育てていた主食のトウモロコシ畑は、収穫を待たずに枯れてしまっていた。

現在ベラちゃんはおばあちゃんの世話をしながら、家事と勉強をこなしている。

朝はチャイ(ミルクティー)、昼は食べたり食べなかったり。夜はウガリ(トウモロコシの粉を蒸したもの)

と野菜の葉っぱを食べる食生活。成長期の子供にとって、決して十分とはいえない食生。


まだ13歳の女の子にとって、毎日は決して楽な生活ではない。

それでもベラちゃんはとっても前向きに、自分の将来の夢を私に語ってくれた。



 

「 本当に不可能な事ってないと思うよ。

一生懸命努力したらね、必ず夢はかなうと思う。

私は将来裁判所で働いて、困っている人たちを救いたい。

神様は必ず私たちを見ていてくれているから。

その時まで頑張って勉強して夢をかなえたい。」