私の任地ニャンド県のHIV感染率は23%とケニアの中でもかなり高く、
毎日病院には朝早くから100人近くの患者さんが薬をもらいに来ます。
もちろん母親から感染した、小さな子供もたくさんいます。
これは14歳のHIV陽性の女の子「リンダ」が、病院スタッフに書いたメッセージ。
1.疥癬があると言われ、いじめられている
2.ご飯がもらえない
3.食事の時は少しの量しかご飯が与えられない
4.テストを受けるのに必要なお金がもらえない
5.家事は皿洗いしかさせてもらえない
6.お父さんは私がいると口をきいてくれない
7.お父さんから靴を買ってもらえない
8.私が使ったお皿やスプーンは、家族のだれも使わない
薬がちゃんと飲めておらず、理由を尋ねたスタッフに
リンダは泣きながらこれを見せました。
家族の中で1人だけHIV陽性の彼女は、家族から虐待をされていたのです。
それも実の両親や兄弟によって。
しかも彼女は、たった5歳の時にレイプをされてHIVに感染。
現在彼女のCD4カウント(※体の免疫指標、正常では1000~1500)は「23」
日和見感染(※免疫が低い為、通常健康な体では罹らないような病原体に罹り、発症する感染症)
も発症していました。
↑リンダと病院スタッフ
母親を呼んで事実を確認。
彼女の訴えは本当だったようです。
実の家族からHIVを理由に虐待されるリンダ。
この1枚の手紙に、彼女の必死の訴えが込められていました。
誰にも助けを求められず、彼女が考えた最後の手段だったのかもしれません。
HIVに感染しているという事実を受け入れるだけでも大変な事。
小さなリンダは家族の誰からも守ってもらえず、
本当の一人ぼっちでした。
母親はスタッフの問いかけにも始終言い訳ばかり。
リンダを思うと胸が締め付けられる思いでした。
リンダの安全を考えて、保護するのが妥当な考えなのですが、
日本のような児童保護施設があるわけがなく、
その後母親に連れられて家に戻って行きました。
まだまだ根強く残るHIVに対する偏見・差別。
これらがHIVをより複雑な問題にさせているのが事実です。
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