2011年11月2日水曜日

リンダの訴え

私の任地ニャンド県のHIV感染率は23%とケニアの中でもかなり高く、

毎日病院には朝早くから100人近くの患者さんが薬をもらいに来ます。

もちろん母親から感染した、小さな子供もたくさんいます。

これは14歳のHIV陽性の女の子「リンダ」が、病院スタッフに書いたメッセージ。

1.疥癬があると言われ、いじめられている
2.ご飯がもらえない
3.食事の時は少しの量しかご飯が与えられない
4.テストを受けるのに必要なお金がもらえない
5.家事は皿洗いしかさせてもらえない
6.お父さんは私がいると口をきいてくれない
7.お父さんから靴を買ってもらえない
8.私が使ったお皿やスプーンは、家族のだれも使わない



薬がちゃんと飲めておらず、理由を尋ねたスタッフに

リンダは泣きながらこれを見せました。

家族の中で1人だけHIV陽性の彼女は、家族から虐待をされていたのです。

それも実の両親や兄弟によって。

しかも彼女は、たった5歳の時にレイプをされてHIVに感染。

現在彼女のCD4カウント(※体の免疫指標、正常では1000~1500)は「23」

日和見感染(※免疫が低い為、通常健康な体では罹らないような病原体に罹り、発症する感染症)

も発症していました。
↑リンダと病院スタッフ

母親を呼んで事実を確認。

彼女の訴えは本当だったようです。

実の家族からHIVを理由に虐待されるリンダ。

この1枚の手紙に、彼女の必死の訴えが込められていました。

誰にも助けを求められず、彼女が考えた最後の手段だったのかもしれません。

HIVに感染しているという事実を受け入れるだけでも大変な事。

小さなリンダは家族の誰からも守ってもらえず、

本当の一人ぼっちでした。


母親はスタッフの問いかけにも始終言い訳ばかり。

リンダを思うと胸が締め付けられる思いでした。


リンダの安全を考えて、保護するのが妥当な考えなのですが、

日本のような児童保護施設があるわけがなく、

その後母親に連れられて家に戻って行きました。


まだまだ根強く残るHIVに対する偏見・差別。

これらがHIVをより複雑な問題にさせているのが事実です。




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